大船駅の交通広場から鎌倉湖畔行きのバスに乗り、「今泉不動」で降りて鎌倉湖畔通りを進むと、散在ガ池森林公園に着く。雑木林の中の小道を進むと、散在ガ池がある。現在は観光用に「鎌倉湖」という呼び名もある。もともとは砂押川の源流に堰を設けて作った人造池である。工事の計画は万延元年(1860)頃よりあったものの、資金が調達できず、元治元年(1864)に代官の梅沢治右衛門と今泉、岩瀬、大船の村役人の連名で申請され、明治初年まで工事は続いた。
散在ガ池
池は昭和に入ってから修理されており、昭和32〜34年(1957〜1959)には大船土地改良区の事業として堤の改修が行われた。続く昭和42年〜43年(1967〜1968)には周辺の宅地造成により調整池としての機能が付加されている。堰堤の長さは220メートル、幅は18メートル。「鎌倉湖」の通称は昭和27年(1957)より用いられるようになり、昭和57年(1982)には散在ガ池森林公園として周囲が整備された。公園として整備される以前は、うっそうとした樹木が生い茂る秘境の趣があったという。そのせいか池には伝説がある。池の主を殺して沈んだ「神次」の話などがそうであるが、これらは深みがあり危険な池に子どもらが近づかないようにするための作り話であるといわれている。
なお、散在ガ池の名は、このあたりが今泉不動の持っていた山で、これを今泉、岩瀬、大船の集落に無償で分与しており、「散在の山」と呼ばれていることに由来するという(参考 鎌倉市のホームページ)。ここから今泉台の住宅地を抜けると、明月院前に出ることができる。また、天園のハイキングコースにも通じている。