佐助の小さな谷にあるのは佐助稲荷神社である。祭神は宇迦御魂命(うかのみたまのみこと)、大巳貴命(おなむちのみこと)、佐田彦命(さたひこのみこと)、大宮女命(おおみやひめのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと)。創建など詳しいことは一切不明であるが、次のような伝説がある。むかし、伊豆に流されていた頼朝が病に倒れていたとき、夢枕に老人があらわれ病の治る方法を教え、挙兵を勧めたという。頼朝は老人の言われたとおりにし、病を治し、挙兵をすると源平合戦は源氏の勝利となった。老人は頼朝に隠れ里の稲荷であると言ったので、鎌倉開府後、頼朝がこの地に稲荷を祀ったのだという。「佐助」の由来は、むかし頼朝が「前右兵衛佐殿」であったので、「佐」が「助けられた」ので佐助と呼ぶようになったと言われている。文献の記録には「佐介」の地名はあるものの「佐助稲荷」は出てこないが、社伝では頼朝が建久年間 (1190〜99)に修理をしていると伝えている。
佐助稲荷