湘南モノレールの湘南深沢駅近くにあるのは、駒形神社である。寺分の旧村社で、東光寺の鎮守であった。祭神は、もともと邇々芸命(ににぎのみこと)と伝えるが、現在は駒形大神である。本社の駒形神社は岩手県水沢市(現奥州市水沢区)にある神社で、駒ケ岳山上に奥宮がある。馬と蚕の守護神で、祭神には諸説あり、それらを総称して駒形大神としている。社伝によればこのあたりは源平合戦以前には大庭景親の所領で、天候不順の折には景親は代参で詣でたという。
 現在の社殿・拝殿は天保の再建で、天保十四年(1843)九月十四日の棟札(むねふだ)に「東光寺旭範」と見える。また、寛文三年(1663)の棟札には二十八人の官途衆(かんどしゅう)の名前が見える。棟札とは寺社の修理・造営の際に工事の由緒や年月、建築者などを記して棟木に打ちつける札のことで、官途衆とは「〜衛門」「〜尉」のような名前の人々である。室町時代以降、庶民の成人した者でその属する集団の有資格者と認められるために与えられる名を官途といった。
 木造の馬の像及び中国式木造人形7体を所蔵する。また、正月に初穂を串にはさみ神前にささげる民俗行事が大正期まで行われていた。


駒形神社
撮影日:2004年9月22日
鎌倉市寺分
(鎌倉郡寺分村)

鳥居 境内へ向う階段 拝殿 拝殿 境内にある石祠
   
境内からは大慶寺が見える。 文政5年(1822年)造の石窟に祀られている弁財天 本殿    

位置

参考文献

『鎌倉市史』社寺編、吉川弘文館、1954年
神崎彰利ほか編『神奈川県の歴史』(県史シリーズ)、山川出版社、1996年
吉田茂穂『鎌倉の神社』、かまくら春秋社、2002年
(ジャパンナレッジ版)『日本歴史地名大系』、平凡社
(ジャパンナレッジ版)『国史大辞典』、吉川弘文館

2010/11/05 UP
2015/01/17 CSS改修