手広の青蓮寺の近くにある神社は熊野神社である。祭神は伊弉冉命(いざなみのみこと)、事解男神(ことさかのおのかみ)、速玉男神(はやたまのおのかみ)。手広の鎮守。もともとは青蓮寺支院の宝積院が管理していたとされ、本地仏は如意輪観音であったという。このことから青蓮寺の鎮守であったのかもしれないが、宝積院が江戸時代に廃寺になったので詳しいことはわからない。慶安元年(1648)の棟札には「別当宝積院」と見え、『新編相模風土記稿』にも「宝積院持」とある。またこの棟札には領主大岡氏・年寄和田氏・名主内海氏の他、官途衆(かんどしゅう)・百姓衆が見える。
例祭の日に社殿の鰐口(社殿や仏堂につるされている金属製の音響具)を叩くと、「どんどん」という音がして神様が出てくるという伝説がある。社殿に棲みついた「てん」が音に驚いて飛び降りてくるので、このような伝説ができたとされている(『かまくら子ども風土記』)。
熊野神社