長勝寺の門前から名越坂に向かって歩いていくと、美容室の横の路地の入口に「十井之一 銚子の井」と彫られた石碑があり、その奥の細い道、住宅の横に埋もれるようにして銚子の井という井戸がある。鎌倉十井の一つで「石の井」とも言う。『新編鎌倉志』には「長勝寺の境内にある、(ことことから俗に)長勝寺は『石井の長勝寺』と呼ばれる」といった記述がある。なお、長勝寺の開基は石井氏で、山号も石井山というから、現在でこそ人目のつかない場所にひっそりと佇んでいるが、かつてはこの井戸の場所まで長勝寺の境内で、長勝寺の象徴的な存在であったのであろうか。井戸の名前の由来は、井戸の蓋がお酒を入れる銚子の形をしているからであるという。
銚子の井