鶴岡八幡宮の流鏑馬道を西の鳥居の方向へ歩いていくと、公衆トイレの前に「よじべえ石」と呼ばれる大石が置いてある。この石は、もともと小坪近くの飯島の海中にあったものであるという。昔、飯島の西の沖では漁師の網が切れたり、泳いでいる子どもがひきこまれて命を落とす魔の場所があったという。「河童かなにかのしわざ」と土地の人たちは恐れていたが、大正12年(1923)9月の関東大震災の際、海が隆起して海底があらわれ、魔の場所には畳三畳敷もあるような大石があることがわかった。その大石のまわりには深い澪(みお、水流によって底が削られ、そこだけ水深が深くなっている場所)ができており、これが魔の場所の正体であったことがわかったという。そこで土地の人たちによって大石は引き上げられ、鶴岡八幡宮まで運ばれてここに納められたという。
よじべえ石