大船駅の交通広場から「鎌倉湖畔」行きの江ノ電バスに乗り、「今泉不動」バス停で降りて直進すると浄土宗今泉山(こんせいざん)一心院称名寺がある。本尊は阿弥陀三尊。開山は弘法大師と伝え、再興は直誉蓮入。本堂や弁天堂、不動堂があるが、もともと不動堂の別当寺が今の称名寺である。九十九谷(くじゅうくだに)と呼ばれる山々に抱かれ、陰陽の滝と呼ばれる二つの滝がある。左側の小さな滝は女滝、右側の大きな滝が男滝である。滝から再び上がって、石段を登ると、不動堂がある。堂の後ろには不動明王三十六童子の石像がおかれている。
男滝
空海が諸国遍歴の折り、この地に自然と導かれ、この山奥深い場所にくると、突然、目の前に年老いた男女の仙人があらわれ、ここに不動明王を彫って、まつるようにと命じた。空海はそれにしたがって、不動明王と大黒天を彫って、村人達と祈りをささげると、しばらく日がたって再び仙人があらわれ、水に困る村人達を救うようにと命じたという。それで空海は岩肌に二つの穴を掘って、三日間、祈りをささげると、水が湧き出し今の不動の滝となり、滝のおかげで村人達は救われたという言い伝えがある。この滝と散在ヶ池を源流とする砂押川(すなおしがわ)は今泉、岩瀬、大船を潤して柏尾川に合流する。かつては貴重な灌漑用水であった。
本堂