最恩寺仏殿 さいおんじぶつでん
山梨県南巨摩郡南部町福士 重要文化財(1953.3.31) 応永年間(1394〜1427)頃建立
















南部町の福士集落にある最恩寺は臨済宗妙心寺派の古刹で、当初は天台宗であったようだが、武田氏の帰依を受け、改宗したという。創建年代は確かではないものの、平安時代頃の創建と伝える。南部氏、穴山氏などとの関係が深い寺院である。火災によって往古の寺勢と建物はほとんど失われたが、唯一現存する仏殿は建立年代は明確ではないものの、様式的には室町時代にまで遡ると考えられる禅宗様の秀作で、重文指定を受けている。サイズはコンパクトで、垂木を省略するなど簡素な面も見られるが、禅宗様に特徴的な花頭窓(かとうまど)や弓欄間(ゆみらんま)が美しい。本建築は福士集落の山際にあり、茶畑の中にひっそりと佇む。地方における現存禅宗様建築としてかなり重要な作例だ。
〔参考〕 山梨の文化財ガイド(データベース)建造物05(山梨県ホームページ)―最恩寺の項目
〔データ〕 撮影:2015年11月1日 作成:2017年8月29日

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